さて、第一回の記事に相応しいものは何であろうかと考えた時、やはりここはサトイモ科植物であろう。
サトイモ科植物というのは非常に多様かつ興味深く、世界最大の花序(枝分かれしない、だとか色々条件はつけられるがまあ今回は気にしないでおく)と世界最小の花(もしかしたらこれも花序かもしれないという話もある。今後の研究に期待)はともにサトイモ科である。
さらには、水中から陸上、さらには樹上、そして冷帯から熱帯、乾燥帯にまで分布するサトイモ科であるが、その花は皆、仏炎苞に包まれるという基本的な形を共通して持つ。何とも不思議なものである。
そんな仏炎苞であるが、カラーやアンスリウム、ミズバショウのように人に鑑賞されるような誰が見ても美しいものは実はそれほど多数派ではない。多くは特定の昆虫との送粉共生によって、一見して奇妙な花をつけるのである。
その中でも、テンナンショウやコンニャクは代表格として、有名であろう。私のように、このグループの植物を愛好し、集めている人間は意外といるのではないかと思われる。しかし、実はこのような面白い花を咲かせるサトイモ科の属は意外と多く、その全体像を知るのは意外と困難である。
そこで今回は、そんな貴方が気にいるであろうサトイモ科の属を一覧表のようにまとめてみた。クリプトコリネも奇妙だが?など、異論は多いと思うのだが、ここではあくまでもコンニャクやテンナンショウのような、と言う点に着目して、主に複葉と球茎をもち、休眠性を持つような種を選定し、系統関係などは無視した。また、園芸的な利用を想定した表のため、基本的に国内流通を私が確認したものに限定している。
まあ、テンナンショウやコンニャクを愛する貴方なら、納得いただける選定だと思っている。どうか許していただきたい。なお、各属に関しては、今後解説記事を書くかもしれない。
以下属名と、一般的に呼ばれる和名があるものはそれを示す。なお、簡単な分類学的位置付けも書いておく。
1.テンナンショウとその近縁属(アルム族)
テンナンショウ属 Arisaema
ハンゲ属 Pinellia
リュウキュウハンゲ属 Typhonium
アルム属 Arum
ヘビイモ属 Sauromatum
ドラクンクルス属 Dracunculus
2.コンニャク近縁
コンニャク属 Amorphophallus
ハパリネ属 Hapaline
3.その他サトイモ亜科
コビトハンゲ属 Arisarum
ヘリコディセロス属 Helicodiceros
アンブロシナ属 Ambrosina
アンコマネス属 Anchomanes (流通未確認)
プセウドヒドロスム属 Pseudohydrosme
4.ザミオクルカス亜科
ザミオクルカス属 Zamioculcas
ゴナトプス属 Gonatopus
5.ドラコンティウム亜科
ドラコンティウム属 Dracontium
ミズヤツデ属 Lasia
ピクノスパサ属 Pycnospatha
まだあるとは思うが、パッと思いつくのはこの辺りである。誰かの役に立つことを願う。
画像のない記事は寂しいので、アオテンナンショウを貼っておく